妻の手首

妻の手首

「谷」 という漢字を、じっと見てください。

しばらくすると、人の顔に見えてきます。

下がった眉と下がった目、そして口を大きく開いている顔に見えます。

その顔が笑っているように見えますか、それとも泣いているように見えますか。

ある人には笑って見えるし、ある人には泣いて見えるのでしょう。

人と同じものを見ても、ほかの人と全く違うように見えることはよくあることです。

「谷」という漢字を眺めたとき、どんな顔に見えるのか。

それは、今の私たちの心の表れなのかもしれません。

そのことがつくづくわかる経験を最近しました。

妻が入院して1カ月たったころの事です。

治療の後遺症や入院生活のストレスなどから妻は食欲が全くなくなってしまいました。

その病院では夕食時間内なら食堂で家族も食事ができるようになっています。

週に2,3回はその病院の食堂でいっしょに夕食を食べます。

その時、妻はほとんど食事をしなくなってしまいました。

ふと、手首を見るととても細くなっていました。

一人で家に帰る車の中でその手首を思い出すとなぜかとても悲しくなって涙が止まりませんでした。

その時からに半月後に妻は退院しました。

治療の効果がとてもよく出ました。

発見当時は5センチもあった癌が今では影のようになっているとの事です。

本当によかったです。もう大丈夫でしょうと先生が言ってくれました。

念のために5年間検査を続けていきましょうという事でした。

退院してしばらくたって、妻の手首に目がいきました。

入院しているときと同じ細さでした。

その時は手首を見ても全く悲しくありませんでした。

半月前には考えると涙が止まらなかったあの手首がです。

「谷」という漢字を眺めたとき、どんな顔に見えるのか。

その見え方が心の表れという話を妻の手首を見て思い出しました。

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「おかげさま」は日本の美しい感謝の言葉

家族の「為に」頑張って働いていると思うといろいろな問題が生じてしまいます。

家族の「おかげ」で頑張って働くことができると思うといい結果になるようです。

誰かの為に頑張るという意識。

そこには「してあげている」という気持ちがどこかにあります。

ですから、お父さんはついつい言ってしまいます。

「お前たち、家族の為にお父さんは頑張っているんだぞ。」

誰かのおかげで頑張れるという意識。

そこには手放しでの感謝の気持ちがあります。

ですから、そこには感謝の言葉があります。

「ありがとう。お前たち家族のおかげでお父さんは頑張れるんだ。」

同じ頑張っているのでもまったく違ってしまいます。

「為と」と思うのと「おかげ」でと思うのでは全然違うのです。

「おかげ」や「おかげさま」 は感謝の言葉です。

相手が自分に対して、特別に何かをしたわけでもないのに、使われることもあります。

後者のお父さんは日常の相手の存在や行為に感謝を表しています。

「おかげさま」という言葉の外国人への説明はちょっと苦労します。

ギブ・アンド・テークが常識の国の人にとっては、不思議なようです。

自分のためになる好意を受けとったときに、感謝の言葉が発せられるならわかります。

何かをしたわけでもないのに、使われることが不思議だな、と思うのでしょう。

「おかげさま」という日本語が好きです。

すべては皆さんのおかげです。

人だけではありません。

家や食べ物や道具のおかげで生かされています。

この謙虚で感謝の気持ちは美しい日本の心です。

「おかげさまで」とみんなが思えば、争い事も少なくなるはずです。

この日本独自の美しい言葉が世界にひろまっていけばいいですね。

「もったいない」が世界に広まったように。

「おかげさま」という気持ちを忘れずに人だけでなくすべてのものと豊かな関係を築きたいものです。